現代の土木、インフラ整備は、材料調達、施工過程、施工後の工作物、その後の廃棄。すべての段階で土地を傷める要素を内在しています。それに対して、有機土木は、大地に根差して暮らしてきた先人たちがその営みの中で伝統的に積み重ねてきた知恵と視点に基づき、技術や施工体系をもとに、健康な土地を育みながら、防災や災害復旧、インフラ整備などの目的を果たす本来の土木(民衆の自然観 民衆の土木)です。
各地(耕作放棄地や人が踏み入れなくなって久しい山中など)には今もなお、土と石と木などの有機物で構築されたかつての土木造作の名残がみられます。土地に生きる人たちによって培われてきた知恵がそこに結集しており、適度な観察とメンテナンスによって代々持続し、なおかつ土地環境がより豊かに育まれ、それが美しい風土となる。有機土木は風土を育む土木とも言えます。
しかし、現代の土木は変化を食い止めるため、構造体の中から有機物を徹底的に排除してしまいます。
有機土木と命名した理由はここにあります。有機土木が有機的に変化し、平衡状態を保つ作用を活かして構築し、限界を定めるものである点で、無機的で反生きもの的な現代土木の指向と対比できると考えたからです。
私たちは、豊かな環境を未来につなぐため、環境を損なうことのない土木が当たり前となる世界を目指し2024年に当協会を立ち上げました。
有機土木とは、土中を含めた健全な水と空気、有機物の健全な循環を損なわないことに視点を向けて大地と向き合う土木の技と智慧の体系であります。それは決して新しい視点ではなく、古来より土地に根差して暮らしてきた人々が育んできたものであり、長い年月のなかで実践と検証を重ねながら受け継がれてきました。
先人たちは、大地の息吹を損なうことなく、田畑や水路をつくり、橋を架け、道を通し、建物を建ててきました。その姿は、自然と共に生きる知恵に満ち、あらゆるいのちが喜び、心豊かに暮らせる世界を映し出しています。
当協会では学習会や現地見学会、実践的な勉強会などにご参加いただきながら、共に学び合うかたちを基本としております。
正会員でご登録いただきますと、オンライン学習会へ無料参加や、現場参加の機会のご案内などより深く学び、実践する機会をご案内しております。
今後、ご自身の事業として有機土木技術について研鑽をご希望の方はぜひご参加ください。
また、学びの場としてご自身の生活の中に知見を取り入れたい方は、賛助会員制度もございます。
ご自身のスタイルに合わせて、ご登録いただけますようお願い申し上げます。
有機的な土木の知見と実践の循環を広げていくためにも、ぜひ、当協会へのご参加をお待ちしております。